IT企業管理職の現実とその頂きを目指す

IT企業をわかりやすく語りつつ、年収1,000万(相当)の生活。目指せ役員まで出世!!

柴山プランを語る(1)~統合型校務支援システム~

 令和元年の6月に公表された当時文部科学省大臣であった柴山大臣にちなんで、柴山プランと呼ばれることもありますが、今のGIGAスクール構想を含む、学校のICT活用に関する大方針です。当初はコロナ前の策定であったため、時間をかけて実現する部分もありましたが、主に端末整備を中心にコロナ対応として急ピッチで進んでおり、計画と変わっている点も出てきています。

 

f:id:nabetsuna:20201222092747j:plain

■柴山プランまとめ資料 

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/24/1418387_01.pdf

 

想定する読者

  • 教育に関係する方々
  • IT×教育ビジネスに関心ある方々
  • 日本の教育の行く末に不安がある方

 

 

nabetunaghetti.com

こちらの記事にも記載致しましたが、日本はICTを活用する力を含めて、世界の教育レベル調査PISAでの順位が下がってきている状況があります。その点からICT活用を進めるという背景に加えて、教育業界が長らく課題としていた教員の過重労働が問題の背景としてあり、抜本的な改善を志す施策です。本方策は、文科省がミッションとしている全生徒に対して等しく教育を行うために必要なことという観点が強く表現されています。

 

様々な側面がある中で、まず校務支援システムというものをご紹介します。こちらは柴山プランの前から導入推進が進んできていますが、統合型と言われる多面的な校務をカバーするものではなく、部分的にまたは未導入というケースが散見されます。ここの普及率は継続的に計測されていますが、導入されているといっても活用できているかはまた別の検討が必要です。特にこれらを開発しているシステムベンダが多岐に及んでおり、また学校側の個別対応を実現してしまってきていることからも実装機能もまちまちなので、これがさらに状況を複雑にしている要因にもなっています。ここが、地方への裁量を持たせた教育制度におけるデメリットとして顕在化してしまっている部分です。

 

そもそも、統合型校務支援システムとは。

www.mext.go.jp

この、統合とは主には以下の管理データベースを実装しているケースが多いです。

  • 成績
  • 出席管理
  • 保健
  • 指導要録  
  • これらの情報を可視化するダッシュボード など・・・

一方で統合ではない校務支援システムとは、これのうちの1つ以上が実装されているようなシステムのことを示します。または、複数の製品を組み合わせているような場合もあります。

 

導入状況

https://www.mext.go.jp/content/20201026-mxt_jogai01-00009573_1.pdf

 引用元:文部科学省

「令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」

 上記資料ベースでは、令和2年3月時点で64.8%の学校に統合型公務支援システムが導入されています。2/3は導入されており、1/3は未導入ということになります。

 

統合型校務システムのメリット

一番期待されているのは教員の作業効率向上です。教員自身が書類の様式を作成することがなくなる点はもちろん、学年や学校でのとりまとめに関する情報を整理するような必要もなく、データベース化することが可能です。

またそれにより、簡単に比較が出来るようになります。可視化や分析にためには、型をそろえるのが重要という点はここでも当てはまる考え方です。学校の業務のうち、特に管理職と呼ばれる校長・副校長は、教育委員会向けの様々な調査報告などを実施しております。教員はそのたびに調査をしないといけいないのですが、情報が記録され、集計できることから始めるのが実情です。これは教育委員会側またはそのお上にあたる文科省の指示が・・・という説もあります。

 

統合型校務システムのデメリット

基本的にこれによるデメリットはないですが、仕様策定するまでには結構手がかかります。というのも、すでに紙などアナログの世界で出来ていることをデジタルで出来ることは多々ありますが、校務支援システムで改修する部分が帳票や様式のデザイン、個別の管理項目といったことが多いので、製品の基本機能ではカバーしてなくて、個別に開発が必要です。これはイコール、エンジニアの稼働時間にはねる要素のため、コストが関係し、校務支援システムの維持管理費の高止まりに関係してしまいます。

 

今後の導入・活用促進にあたって

学校業務の中でシステム適応範囲を多くしようとすると、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)まで必要な議論になりますが、まずは使える範囲から利用するでよいと思います。というのも、統合型校務支援システムはどこまでいってもシンプルにはデータベースでしかありません。何かのアプリケーションではないので、基本は記録簿の延長でしかありません。効果は十分ある仕組みですが、段階的な導入が出来るものとご理解ください。

 

次回は、遠隔授業関連についてです。