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サブスクリプションビジネス(3)

この記事の想定対象者
・新規ビジネスを企画する方
・ITサービスを提供するようなお仕事の方
・サブスクって言葉を調べて勉強されてる方
・前回までの記事をご覧頂いた方
 

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前回はややIoTの話に寄ってしまいましたが、サブスクリプションモデルを実行するうえで、ユーザが利用しているかどうかがわかることはとても重要です。ここでは、事業運営上の特徴をお伝えします。
 

 

■ストック型/保守料ビジネスとはちょっと違う

これまでは、モノの提供が主であったことから、最初の購入時に大きな収益があがり、翌年以降は保守料のような形で、その20~30%の収益が上がるような構造です。この構造をストック型ビジネスとされたいました。最初購入するときに、大きな出費をしてしまっているユーザは、段々と満足度が下がってきたとしても、支払ってしまったから使い倒さないと損をするという気持ちと、また買いなおす時には大きな出費を伴うという心理面も関係するビジネスです。企業が中長期的な経営を行う上で財源確保としてはとても重要であり、最初の売り上げを減額してでも翌年以降に継続的な収益を獲得したいと考える企業もいます。

 

サブスクリプションビジネスでは、クラウド技術の進歩もあり多くSaaSという利用に向いた形で提供がされ、年額または月額利用料という体系になっております。つまり、ユーザから見ると、最初の大きな出費が不要であり、提供企業からすると最初に大きく大きな売り上げが上がらないモデルになります。

 

企業は損しただけか?いえ、ユーザは所有ではないので、いつまで利用し続けられるかは提供者次第です。逆に言えば、提供者はいつでもサービス仕様の変更が可能であるというのはポイントで、ある日提供をやめてしまっても約款に規定されていれば問題ないことになります。これまでは所有しているもらっているユーザのために、保守を提供することは提供者側の使命に近い位置づけで、故障時用の予備部品/人材・ノウハウなどもかなり長い期間保管されていました。

 

 

■とても興味深い投資理論

職業柄、新規のサービス企画などに関わることが多かったですが、お金につけるラベルという点でとても斬新な要素をサブスクリプションモデルでは持っています。

 

一般的なお金の考え方

売り上げ=原価+利益となり、この利益というお財布を何に使うかと考えます。

サブスクリプションのお金の考え方

継続ユーザからの売り上げ=提供原価+継続してもらうための努力+利益

新規ユーザからの売り上げ=提供原価+獲得のための販売費+利益

この構造の解釈として、継続ユーザからの売り上げに起因する利益は積極的に新規ユーザ開拓のための原資に活用が出来るということです。なんだ、既存顧客の収益で次の投資をしようと取られると、何ら変わりはないですが、これを指標にして管理することが重要です。

 

上述の通り、サブスクリプションモデルは月額や年額で収益があがる構造であるため、継続顧客が継続でなくなるタイミングは急に訪れます。会計年度内で必要な投資費用を確保しようと思うと、継続ユーザの継続率を予測するとともに離反されないような工夫をしていくことが重要になります。これはつまり顧客の期待に応え続けるということになります。

 

これまでの営業のように、毎年会計年度が変わると売り上げが0円からスタートして、今年度の売り上げを目標まで積み上げていく事業から、継続ユーザ分の収益を持っているところから減らさずに増やすという営業プロセスが求められます。